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Text File  |  1994-11-16  |  2KB  |  34 lines

  1. 531/549   WST00364  和田 光平         縁の下の力持ち(尾張)
  2. ( 8)   94/04/01 18:52
  3.  
  4.   縁の下の力持ち(尾張)
  5.  
  6.   荘川桜には,もうひとつの桜物語が伝えられています.
  7.  1978年に廃線となった旧国鉄バス名金線( 金沢~名古屋線) の車掌佐藤良二さんの
  8. 生涯が,「さくら道」( 中村儀朋編著, 風煤社,1987)に綴られています. 
  9.   日本海と太平洋を桜の並木道でつなごうというのが佐藤さんの壮大な夢でした. 
  10.   この佐藤さんの話は地方テレビで放映された後, 全国でも放映され反響を呼んだと
  11. 言います. リメイクがまもなく映画「さくら」として封切りされると聞きました.
  12.   47才で亡くなった佐藤さんと荘川桜の出会いには, 人と桜の不思議な縁を感じます. 
  13.   荘川村での移植の一部始終をカメラを携え撮影した人が, 佐藤良二さんでした. 
  14.  幼くして母を亡くした佐藤さんは, 親のない施設の子供たちを, みずから寄附金を
  15. 集めて御母衣ダムに招待したり, 2000本の桜の苗を持って, バス沿線に植林し続けまし
  16. た. その人生は, 己の命を削り, 人を喜ばせる行動に貫かれています. 
  17.   笹部博士の自宅,神戸の岡本へも訪ねています. 偶然, 佐藤さんが撮影した写真に
  18. 荘川桜を背にした笹部博士と豊橋の植木職, 丹羽政光さんが写っていました. 
  19.   同僚のバス運転手であった佐藤高三さんとの桜植林の旅.   桜をやっても一銭の得に
  20. もならないと言う笹部さんの言葉を実感しつつも, 老いた笹部さんの分も, 自分が植え
  21. つづけようとオートバイに乗り, 自費で休日に桜を植え続けます. 
  22.   研究と努力のかいあって,7年間失敗し続けた荘川桜の種400 個から実生の苗が発芽
  23. しました. それは佐藤さんに残された最後の春の出来事でした. 桜の苗に一郎, 二郎と
  24. 名前を付け,40 ばかり発芽した苗を, 我が子をいつくむように育て続けます. 
  25.  佐藤さんは, 育った苗を鉢に植え替え, 能登の輪島にいた平松さんに託します. 
  26. 「日本海側の平松先生へ、ムコ(七郎)を贈る。高さ十五センチ。午後一時、大滝苑で
  27. の写真展終了後、先生の車へ入れてあげた。平松さんから握手頂き、ついにお別れか。
  28. 七郎をしっかりたのみます、と涙。三百キロメートルをわざわざ来て頂いて。先生なら
  29. ばこその暖かいお心だ。『市役所等へおあずけして輪島市民みんなの桜にしたい』と
  30. 先生。七郎よ幸せになれよ!」(実生の戸籍簿より)
  31.   現在, 荘川七郎は輪島市役所に6 メートルに育った姿が見られるそうです. 
  32.  
  33.                            東海支社)和田 光平
  34.